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600年の歴史を持つ郷原漆器ですが、戦後には一時生産が途絶えたこともあります。
しかし、郷原漆器を愛する人たちの熱心な研究と協力で平成元年に見事復活しました。
お椀や木皿はどれもシンプルなデザインが特徴。
日々の暮らしに漆器を取り入れるのも、私にとってはちょっとスペシャルな感じがします。

髙月国光さん/木地師
倉敷市生まれ。
大学卒業後に石川県立山中漆器産業技術センター・石川県挽物轆轤技術研修所で4年間修行、
2003年6月から真庭市蒜山に居を移し、郷原漆器の木地師となる。
現在、「郷原漆器の館」館長。第60回日本伝統工芸展/木竹工部門、欅造盛器で入選。
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ありきたりな質問のですが、木地師を志された理由を聞いてみました。

髙月さんからは“JAPANですよ!”との回答。

 えっ、今流行りのクールジャパン(Cool Japan)ですか?

漆器は英語でjapanと呼ばれるとのこと。

お話は髙月さんが学生時代に空手で活躍されていた時のことにさかのぼります。
 “大学時代に空手でヨーロッパ遠征に行ったときの現地の方々の対応と、
旅行客として滞在したときの現地の方々の対応の違いを直に感じ、
伝統を重んじるヨーロッパで伝統文化に対する思いに変化が生じた。
その後、大学卒業後に出会った師の導きもあり、木地師を志すようになった。”のだと。

随分省略してしまいましたが、空手で培った心、体、そして人格が木地師としての髙月さんの原点なんですね。
高月さんの立ち振る舞い、構え、また受け答えから感じられるものが確かにあります。

実際に木地挽き作業を見せていただきました。
郷原漆器の特徴は、地元に自生するヤマグリの木を素材として用いること。
まずは生木を切り、年輪を中心に型をとり、電動糸鋸でくり抜きます。
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 ここからが木地挽き作業。
その前に木地を削るための長い柄の刃物、鉋もご自分で作られるとのこと。
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鉋そのものを作るのも木地師の仕事だそうです。

足元のレバーで轆轤の回転数を調節。
鉋の柄を脇にはさみ、刃先と脇にはさんだ柄の間に支点を置き、
体、手首を微微妙に傾け、ひねりながら、
最初は荒く、徐々に慎重にそして微妙な力加減で削られていきます。
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でできたのがこちら。
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 さすがの職人技と言いますか、動きに無駄やブレがない。
 木地挽きの後の工程、今回は中塗り、拭き漆の作業を見学させていただきました。
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 漆を塗る作業は郷原漆器生産振興会の女性の方々が担当されていますが、
郷原漆器の特徴である美しい木目はこの拭き漆によって生かされてきます。

漆を塗って、乾かし、そして磨く。この作業を幾度と繰り返すことで、
自然の風合い、木の温もりが感じられる郷原漆器に仕上がります。

 体験クラフト市のワークショップでは、髙月さんの手ほどきにより木地挽き体験を行います。
すでに11月23日(土)は午前・午後共に予約が埋まってしまいましたが、
24日(日)はまだ予約可能です。とても貴重な体験になると思います。

郷原漆器の館[郷原漆器生産振興会]
〒717-0602 岡山県真庭市蒜山上福田425
TEL 0867-66-5611
http://www.goubara.jp/yakata.html